産んだのは母、育てたのは娘。
親子二人三脚で育てる新名物「さばやき」
鯖江市でさまざまな活動を行って盛り上げている人たちの動きを、もっともっとたくさんの人に発信するべく、活動の当事者たちに密着し、レポートをまとめる『つくる、さばえ研究課』。
今回は「まちづくり」と「ことづくり」に焦点を当て、鯖江のユニークなおやつ・さばやきをつくる「TEA TO GO Nihiki」の佐々木さん親子(母・明子さん、娘・萌さん)にインタビューのご協力をいただきました。

突然ですが、みなさんは「さばやき」と聞いて何を思い浮かべますか?
「鯖を使った料理?」
実はちがうんです。

鯖の形をした、たい焼きならぬ「さばやき」なのです!あんこクルミやカラメルカスタードといった定番に加え、季節限定の味も人気のおやつです。
現在は鯖江商工会議所内でカフェ「TEA TO GO Nihiki」を営業しながら、市内外へキッチンカーで積極的に出店。今や鯖江の新たな名物として認知されつつある「さばやき」のつくり手こそ、佐々木さん親子です。カフェやさばやきの誕生秘話はもちろん、その先に描く鯖江の未来まで、お話を伺いました。


<出店中のキッチンカーの様子>
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産んだのは母、育てたのは娘。さばやきが”鯖江のおやつ”になるまで
2022年4月、鯖江商工会議所内にカフェ「TEA TO GO Nihiki」がオープンしました。きっかけは、萌さんが参加していた「さばえ創業塾」(鯖江商工会議所が主催するビジネスを学ぶ講座)。そこでカフェ経営の構想を練っていた萌さんに、商工会議所から空いたテナントに入らないかと声がかかり、「やります!」と即答。カフェの名前の「Nihiki」には、萌さんが飼っている猫2匹への大切な気持ちが込められているそうです。
さばやきはオープン当初からあったわけではなく、約2年後の2024年1月に登場。一体どのように生まれたのでしょうか?
実は、母・明子さんの思いつきでした。

明子さんは、家業のめがねフレームメーカーで20年以上働いていましたが、事情があって仕事を他社へ譲渡すると同時に退職。めがね産業にいた頃から持っていた「鯖江を盛り上げたい」という気持ちから、自分にできることを考えている中で、ある日思いついたと言います。

「めがね業界から離れるけども、やっぱり鯖江をなんとか盛り上げたいなという気持ちがありまして。でも何ができるかなって考えた時に、たまたまたい焼きを食べてたんです。で、「さば焼きがあってもいいんじゃない?」って思ったんです。段々自分の中で、面白いかもしれないなと思って。それがきっかけです」
しかし、年齢のことも相まって一人で始めることに諦めもあったという明子さん。友人の「どうせやらないんでしょ」という一言に背中を押され、「するわ!」と決意。萌さんのカフェ構想とも重なり、親子で挑戦することになりました。
こうして誕生した「TEA TO GO Nihiki」と「さばやき」。さばやきの型を発注し、生地の配合も一から考えて、試行錯誤しながらつくったそうです。そんな中でいつもアイディアをくれるのが萌さんだったと言います。

「私は一応型や生地をつくって準備はしたけど、産んだだけ。 育てたのはこっち(萌さん)みたいな感じ。私だけがやっていたらただの鯖の形をしたたい焼き屋のおばちゃんで終わっていたと思うんですけど、お店の雰囲気をつくってくれたり、味のバリエーションを全部コーディネートしたのは娘の方です」
まさに産んだのは明子さん、育てたのは萌さん。あんこもカスタードクリームも自家製で、季節限定メニューには庭で育てたいちごをジャムにして使うことも。店内を彩るお花も萌さんが育てたものです。一つひとつに親子の手仕事が重なり、さばやきは少しずつ鯖江らしいおやつへと育っていきました。

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好きな鯖江を、自分たちで育てて盛り上げたい
味も見た目も妥協しない、唯一無二のさばやき。そのこだわりの背景には「鯖江をもっと好きなまちにしたい」という、親子それぞれの強い想いがありました。
明子さんは、家業のめがねフレームメーカーで働いていた頃から「鯖江を盛り上げたい」という思いがずっとあったと言います。特に欠かせなかったのは「鯖江ギフト組」(複数のメガネ会社が集まり、それぞれの技術を生かしてアクセサリーなどのギフト系の商品開発に取り組むグループ)の存在。明子さんは鯖江ギフト組の活動を通じて、仲間と共に鯖江を盛り上げることを考え続けてきました。退職を機に、業界を離れることの申し訳なさもありましたが、それでも変わらなかったのは「みんなが頑張ってる鯖江から離れたくない」という気持ち。ギフト組での経験が今も活動の原点になっていると言います。
一方、萌さんの原動力は「鯖江に対して地元の人に愛着を持ってもらいたい」という思い。あんこクルミやカラメルカスタードなど、アレンジを凝らした味を発案する背景でもあります。
「地元の人に愛着を持ってもらうために、広まることがすごく大事。何でも逆輸入って、すごく納得感があって。外から「良いね」って言われるのが一番効くと思うんです。そのためにちょっとでもインパクトが出るようにって考えましたね」

萌さんは、地元の人が鯖江に愛着を持つためには「外からの良い評価」が大切だと考えています。そのために、少しでも印象に残るような商品づくりを意識していると言います。例えばあんことクルミは、懐かしさや安心感を与える相性の良い組み合わせだと考え、馴染みがありつつも少し驚きもある味を狙ったそうです。
萌さんにとってなぜ、地元の人に鯖江への愛着を持ってもらうことが大切なのか。想いの奥には、萌さんが描く鯖江の将来像がありました。
「私自身、これからも鯖江に住み続けることになると思うので、私が好きな鯖江にしたいんです。まちの人が鯖江を好きになれば、外からの評価も高まり、人も集まってくる。さらには世界から鯖江を目指す人が多くなったらめっちゃ面白い。そんな面白い鯖江になったら住む価値があると思うんです。」

さばやきは、鯖の形をしたかわいらしいおやつです。でも、その中に詰まっているのは、あんこやカスタードだけではありません。
「鯖江をもっと盛り上げたい」
「これからも住み続けたい鯖江を、自分たちの手で好きになれるまちにしたい」
母と娘。出発点は違っても、それぞれの想いが重なり合い「さばやき」という一つの鯖江らしさが形になりました。今も親子で少しずつ育て続けているのは、さばやきだけではなく、鯖江というまちそのものなのかもしれません。
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さばやきの、その先へ
2人の鯖江に対する深い想いがあったからこそ生まれた、TEA TO GO Nihikiとさばやき。最後に、カフェを通して描きたい未来について伺いました。
萌さん:「いずれはさばやきをアイコンにしてセミナーをしたいです。経済や環境、子育て。住民の皆さんにとって得になるようなことを、無料でやっていきたいなと思っています。他には、お友達作りの場にしたり、コミュニティを育てていけるような場所にしたいですね」

明子さん:「さばやきを通して鯖江を知ってもらったり、鯖江をPRできるようなお菓子になればいいなという気持ちがあって。愛されるように頑張りたいと思います。鯖江のいろんな会社の経営者さんと話す中でも、やっぱりみんな同じ思いというか。その火は消えないであろうし、みんなで育てていくものである。私はちょっと形は変わったけど、一緒に歩んでいきたいなって思います」

明子さんは、鯖江が「自分らで何かやろうと思えばできるちょうどいい規模」だと言います。鯖江を盛り上げることは、みんなの力を合わせてできること。「少しずつでもやっていきましょう」と声をかけてくれました。
さばやきは、鯖江の新しい名物おやつでもあり、親子の挑戦でもあります。二人三脚で始まった挑戦は、これから人と人をつなぐコミュニティの入り口になっていくのかもしれません。
毎週月曜・火曜は、鯖江商工会議所1階の「TEA TO GO Nihiki」で営業中。ぜひ、親子の想いが詰まったさばやきを味わってみてください。
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Instagram: @nihiki_teatime