つくり手インタビュー:地域おこし協力隊 岩本和也さん

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子どもの居場所「ゆるいばしょ」からはじまる、
鯖江の「ひとづくり」

鯖江市でさまざまな活動を行って盛り上げている人たちの動きを、もっともっとたくさんの人に発信するべく、活動の当事者たちに密着し、レポートをまとめる『つくる、さばえ研究課』。

今回は「まちづくり」「ひとづくり」に焦点を当て、子どもの居場所づくりに取り組む、地域おこし協力隊の岩本和也さんにインタビューのご協力をいただきました。

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鯖江で子どもの居場所をつくることになったきっかけ

鯖江市上野田町に「ゆるいばしょ」という拠点を構える岩本さん。だがしややフリースペース運営、ごはん会の開催など、子どもたちが学校や家庭とは違う場所で、自由に過ごせる場づくりに取り組んでいます。

静岡県浜松市出身の岩本さんは、大学で保育を学び、保育士資格を取得。しかし、卒業後の進路を考えるなかで、日本一周の旅に出ることを決意。その旅の中で「保育士になるのではなく、子どもと関わることがしたい」と思うようになったと言います。そんな岩本さんが鯖江に来るきっかけとなったのが、令和6年能登半島地震の災害支援でした。

2024年の春、支援先で偶然出会ったのが、当時鯖江の地域おこし協力隊だった村上なつかさん。同年秋に初開催をひかえていた「つくるを祝う祭典『さばえまつり』」を手伝ってほしいと声をかけられ、1ヶ月ほど事務局を務めることになりました。

当初は、さばえまつりの手伝いを終えたら帰るつもりだった岩本さん。ところが、鯖江でさまざまな人と出会い、交流を重ねるうちに、少しずつ滞在が長くなっていきました。市役所の人たちとも話す機会が生まれ、かねてからやりたいと思っていた「子どもの居場所づくり」に鯖江で取り組むことに。こうして2025年4月、岩本さんは地域おこし協力隊として着任しました。

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「ゆるく居られる場所」をつくる

「子どもの居場所づくりをすることは決まっていても、当初具体的な構想はなかったと言う岩本さん。そこでたまたま知ったのが、奈良県生駒にあるチロル堂でした。チロル堂は、大人からの寄付を子どもたちの食事やおやつに還元する駄菓子屋です。岩本さんは着任直後に、早速現地を訪れて「これをやりたいと思った」と言います。

「チロル堂には、ひと昔前の日本の風景がありました。先生と子どもは縦の関係、保護者と子どもは横の関係だとすると、その間の存在って絶対的に大事。斜めの関係と言うのですが、近所のお兄ちゃんみたいな関係性が、今はすごく減ってるなと。でもチロル堂には、そうした関係性があったから、いいなと思いました」

ここまで決まれば、あとは物件のみ。市役所の人や周りの友達にたくさん声をかけた結果、もともと飲食店として使われていた物件を借りられることに。こうして2025年11月、「ゆるいばしょ」が誕生。ゆるいばしょという名前には「ゆるく居られる誰かの居場所でありたい」という岩本さんの想いが込められています。

「ゆるい場所とゆる居場所をかけてます。居場所って言うと固くなるけど、ゆるっとした、ゆるっと居れる誰かの居場所だよって言うと、柔らかくなる。みんながゆるゆる来てくれればいいし、自分もゆるっとやっていける」

そんなゆるいばしょのルールは「誰かが嫌なこと、命に関わることだけはしない」こと。それ以外は、細かな決まりを設けていません。岩本さんにとって「ゆるくやる」ことは、あえて決まりきらない「グレーゾーンを持つこと」。その余白が、子どもたちの創造力や成長にもつながると語ってくれました。

「ルールを決めすぎたら、子どもの創造力はなくなります。例えば、木に登っちゃいけないと決まっていたら、木を触る感覚も知らない子どもが大人になりますけど、危なくないようにゆるく何でもいいよと言っておけば、いろんなところに触って、いろんな感覚が身について、成長の幅が広がると思っています」

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みんなで場づくりをすること

ゆるいばしょでは、「みんなでごはん」というごはん会も開いています。はじまりは、岩本さん自身が「みんなでごはんを食べたい」という純粋な思いから。これまでに11回開催し、地域の小学生や保護者を中心に、延べ300人以上が参加。毎回運営を手伝いに来てくれる大学生もいるそうです。メニューを考えてくれるのは、近所で会社の社員食堂を担当している方。栄養もしっかり考えられたごはんを、みんなで囲みます。

回数を重ねるなかで、地域の人から「ありがとう」と声をかけられる機会も増えたと言います。活動の中で、岩本さんが大切にしているのは、参加する人を「お客さんにしない」ことです。

「来てくれる人たちが、お客さんにならないようにと心がけています。お客さんになったら、関係性に壁ができるんです。もらう人と与える人になってしまうし、それは自分の求めているものじゃない。『みんなでごはん』の時も『一緒に片付けしてください』と言うようにしてて。そしたら、一緒にこの場をつくる人たちになります」

食事を提供する側と、受け取る側。そんな一方向の関係ではなく、その場にいる人みんなが少しずつ場をつくる人になる。「みんなでごはん」は、食卓を囲むことをきっかけに、世代や立場を越えて人が関わり合える場にもなっています。

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「つくる人」と「応援する人」が、鯖江をつくる

鯖江に来てからとんとん拍子で地域おこし協力隊となり、着任から約半年で拠点を立ち上げるなど、持ち前の行動力で挑戦を続けている岩本さん。そんな岩本さんが鯖江で感じているのは「応援してくれる風土」だと言います。

「鯖江はめっちゃ応援してくれます。なんかやろうと思ったら、市役所の人もすごく動いてくれるし、鯖江に来てから出会った友達も絶対的に応援してくれる。他にも自分が関わっている子ども食堂の団体や高校生も。鯖江は市民団体が多いし、市民主役のまちというのも大きいと思います」

誰かが「やってみたい」と思った時、その思いを受け止め、力を貸してくれる人がいる。だからこそ、鯖江では新しい活動が生まれ、また次の誰かの挑戦へとつながっていくのかもしれません。まちをつくるのは、何かを始める人だけでなく、その一歩を応援し、時には一緒に手を動かす人がいることもまた、鯖江の「つくる」を支えています。

岩本さんが次に思い描いているのは、「ゆるいばしょ」にチロル堂のドネーションの仕組みを取り入れることです。

例えば、大人が700円のオムライスを1,000円で購入すると、差額の300円が運営費や子どもたちのために使われる。大人が少し多く支払うことで、その分が子どもたちのサポートにまわる、といった仕組みです。そうした地域で子育てをする仕組みを、鯖江でつくろうとしています。その実現に向けて、現在はクラウドファンディングにも挑戦中。新しい仕組みを構想するだけでなく、一歩ずつ形にしようとしています。

「ゆるいばしょ」で岩本さんがつくっているのは、子どもの居場所だけではありません。学校や家庭とは違う人との関わりや、誰かとごはんを食べる経験、自分で考えて行動する余白。そうした日々の小さな経験が、子どもたちのこれからをつくっていきます。子どもが大人になるまでには、長い時間がかかります。それでも、「ゆるいばしょ」で過ごした経験が、いつかきっと誰かの力になる。そうした積み重ねは、今はまだ見えない未来の鯖江をつくっているのかもしれません。

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「ゆるいばしょ」のこれからを応援しよう!

「ゆるいばしょ」では現在、キッチンの改装に向けたクラウドファンディングに挑戦中です。飲食の場を充実させることでドネーションの仕組みを取り入れ、地域のみんなで子どもたちを育てていける場所を目指しています。

これからの「ゆるいばしょ」の取り組みに、ぜひご注目ください。そしてぜひ「ゆるいばしょ」へ。営業日や最新情報は、岩本さんのInstagramをご確認ください。

Instagram: @_garakun_chioko

<支援・詳細はこちらから!> https://camp-fire.jp/projects/958216/view?srsltid=AfmBOoq_683M-X02LhOUct3JEtnPf4MCGlMMefOOVFSiWhM3W2whnCRm